新芋の季節がやってきた
新芋の季節です。
昨年とれた超熟成芋がほんとにどこにもなくなり、今年新しくとれた芋が市場に出回ってきました。焼き芋屋にとっては嬉しいともに悩ましい季節です。

なぜかって???
だって、いもはあたらしけりゃいいもんじゃないんですよ!!!!
とれたばかりの芋はたしかにフルーティ。そのまま焼くとちょっと果物的な酸味さえ感じられて、そればそれで美味しいんです。でも!
お芋らしいホクホクとかねっとりした甘さとはべつもの・・・
あのお芋ならではの甘さは、収穫からのちの適切な環境での寝かし作業から作られるものなんです。そしてもちろん時間もかかる。手間暇かかる。今出ている関東の新芋は、その「寝かし」期間がない、新鮮な掘りたてのもの。
それでも、うちに入ってくるのはまだちょっとだけ寝かしたものなのだけど、昨年の熟成芋とはまったく別物の個性です。おんなじ芋なのに!!!
この芋を、いかに焼くか。これが焼き芋屋の腕の見せ所・・・・。
新芋の特徴をまとめると
・水分が多いため壺の温度があがりにくい
・組織が固い
・糖度が低い
これをカバーするためには・・・・
塩水の力をかります。うちでは1%から2.5%くらいの塩水にひと晩つけます。こうすることで細胞壁をこわして火が入りやすく、みっちりとつまった焼き上がりになります。
8%がいいとか、5%という方もいますが、どうしてもしょっぱくなる。それがいいというお店もありますが、塩味はうるさく感じるほうなので、うちでは洗い流したりもします。浸水の時間により濃度を調整し、できるだけ低い塩分濃度におさえます。
アルミホイルを巻き、(いもぞうではいつも巻いています。)温度は若干低めに、そして、大切なのはその温度をできるだけ長く持続する。一気に温度をあげて、その温度を持続させます。壺に入れるおいもの本数は少な目にして温度を上がりやすくしたうえで、できるだけ蓋を開けないようにします。で、持続。炭火の調節でこれがなかなか難しい。焼き時間は長め。
こうして、新芋とは思えない、むっちりつまってなめらか、十分な甘さのある焼き芋が焼きあがるんです。
1月くらいになるとかなり安定した寝かし芋になってくるのですが、それまではちょっと気を遣う新芋の季節なのでした。
