べにはるかってそもそも何がすごい?品種の特徴とご当地ブランドあれこれ | しあわせの焼き芋 いもぞう

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べにはるかってそもそも何がすごい?品種の特徴とご当地ブランドあれこれ

■ はじめに

近年、焼き芋の世界で圧倒的な存在感を放つ品種――それが 「べにはるか」 です。
ねっとり系ブームの中心にいて、一般家庭でも専門店でも“指名買い”が増え続けています。

べにはるかはなぜここまで人気になったのでしょうか。
誕生の背景から味の特徴、そしてこの品種の登場で産地がどう変わったのかまで、専門店の視点で丁寧に解説します!


■ ② べにはるか誕生まで──「サツマイモ界の流れ」から見るとよくわかる

べにはるかが登場する前、サツマイモはほくほく系が主流でした。
高系14号(鳴門金時系)に代表されるように、粉質で甘さはあっさり。焼き芋といえば「ほくほく」という時代が長く続いていました。

2000年代に入ると、安納芋に代表されるねっとり系の人気が急上昇
しかし、ねっとり系は

  • 貯蔵管理が難しい
  • 外観が揃いにくい
  • 収量が安定しない
    という課題もあり、全国規模で普及するまでには至りませんでした。

そこで、より“扱いやすく安定供給できるねっとり系”を目指して生まれたのが べにはるか です。

● べにはるかの誕生

開発者:九州沖縄農業研究センター(旧・九州農業試験場)
交配:九州121号 × 春こがね
名前の由来:「はるかに良い品質」から。

開発当初の狙いは、

  • 高い糖度
  • 外観がよく揃う
  • 収量の安定
  • 線虫に強い(栽培しやすい)
  • 貯蔵性が高い
    という、農家と市場のニーズ両方を満たす“次世代型のサツマイモ”。

この特徴が全国で支持され、2010年代以降に一気に広まりました。特に栽培しやすく収量が安定することは、大きく評価され、それまで関西が主な産地だったのが、産地がひろがったのは、べにはるかのおかげといっても過言ではないのでしょうか。


■ ③ べにはるかの特徴

● 甘さ

焼成すると糖度40度前後に達することもある強い甘さが最大の魅力。
蜜がにじむタイプで、冷やすと甘みがさらにしっかり感じられるようになります。

● 食感

べにはるかはしっとり〜ねっとりの中間くらいの位置づけ。
繊維は比較的少なく、舌にやわらかく絡むような濃密さが特徴です。
(※シルクスイートのような“プリン級の超なめらかさ”とは異なる系統で、事実として区別されます。)

● 外観

皮は濃い赤紫で、焼くと中身が美しい黄金色に。
見た目が揃いやすいので、ギフトや専門店でも高く評価されています。

● 熟成で甘さが化ける

べにはるかは熟成による糖化が顕著な品種。
さつまいもを収穫後、保存前に行われるキュアリング処理後、適切な管理方法で熟成させれば、数週間〜数ヶ月で甘さが劇的に伸びます。つまり、収穫後に伸びしろがある、ということ。
この扱いやすさも、専門店で人気の理由です。


■ ④ べにはるか登場で産地は変わった?

2010年代後半から、焼き芋のトレンドは“ほくほく→ねっとり”へ完全にシフト。
その中心にいたのがべにはるかでした。

  • 茨城
  • 鹿児島
  • 宮崎
  • 千葉

などの大産地で栽培比率が急増します。
特に茨城県は、生育条件が合ったこともあり、一大産地に成長。

そして何より忘れてはいけない「焼き芋器」の開発。スーパーなどにおいてあるあの焼き芋器は茨城県がべにはるかの焼き芋を売り出すために開発したものですが、これが大ヒット。焼き芋ブームとともにべにはるかの出荷量はうなぎのぼりになりました。

結果として、
市場に並ぶ焼き芋の半数以上がねっとり系
という状況をつくり出し、焼き芋文化そのものの方向性を変えたといえます。


■ ⑤ ご当地ブランドあれこれ

べにはるかは、産地と熟成方法によって味が大きく変わるのも魅力。

代表的なのは

  • 紅優甘/べにゆうか(茨城JAなめがたしおさい)
  • 甘太くん(大分県ブランド)
  • いもジェンヌ(JA新潟かがやき)
  • 紅天使(茨城のポテトかいつか)
  • 葵はるか(宮崎くしまあおいファーム)

それぞれ熟成管理の技術が異なり、甘さの伸び方が違うため、食べ比べる楽しさがあります。


■ ⑥ いもぞうの現場から見える“べにはるかの本当のすごさ”

ここからは、専門店としてのリアルな感覚をお伝えします。

いもぞうで扱うべにはるかは、
甘さの厚みがとにかく強い
という特徴があります。

ひと口食べた瞬間に「黒糖っぽい」と感じるほど濃い甘みで、
お客様から「えっ…!?」と声が漏れるほどの反応をいただくこともしばしば。

そのくらい、
深みのある甘さ × しっとりした舌ざわり
がわかりやすく伝わる品種なんです。


■ ⑦ まとめ:シーズンごとの味わいと、おいしいべにはるかの選び方

● シーズンによる味の変化

  • 9〜11月: まだ若く、さっぱりめ。しっとり感は控えめ。
  • 12〜2月: 熟成ピーク。甘さの厚みが最大級に。
  • 3〜5月: さらにねっとり化し、濃さが増すことも。

季節によって“べにはるかの顔”が少しずつ変わるのも魅力の一つです。


● おいしいべにはるかの選び方(※鮮度より形状・繊維感で判断)

べにはるかを買うとき、どんな点を注意すればよいでしょうか?

① 形が紡錘型で、でこぼこしていない

紡錘型でぼこぼこしていないものをえらびましょう。繊維がきつい場合があります。また、家庭で焼く場合は急激に太いものは、中心に繊維が残りやすい場合があるので、
スリム〜中くらいの均一な形を選ぶのがコツ。

② 切り口(見える場合)はクリーム色で、すじが目立たない

繊維質が強い個体は、加熱後に食感がやや固くなることがあります。

③ 皮の張りがよく、シワが少ない

べにはるかは貯蔵に強い品種ですが、乾燥しすぎているものは劣化のサイン。

④ 重さを持ったときに“密度感”がある

同じ大きさでも、持った瞬間にずしっと重い個体は水分とでんぷんがしっかり。
しっとり甘い焼き芋になりやすいです。


「ねっとり甘い焼き芋が食べたい」
そんな願いを叶えてくれるのが、べにはるかという品種。

焼き芋の主役として、そしてスイーツ素材としてもますます進化していくこのお芋。
シーズンごとの表情を楽しみながら、ぜひお気に入りの一本を見つけてみてください。

また、家庭で焼くのももちろん美味しいですが、いもぞうの壺と炭で焼いた焼き芋はまた格別。ぜひご家庭の味とあわせてお買い求めください。

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